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対テロ戦争下の国家による誘拐「レンディション」

日本劇場未公開の掘り出し物映画

 ※Hulu、Netflix、Amazonプライム・ビデオなどの動画配信サービスでは、コンテンツ配信スケジュール、コンテンツホルダーとの契約により、視聴可能なタイトルが変化するため、記事内で紹介しているタイトルの取り扱いが休止、配信終了となっている可能性があります。

 Huluで見た「レンディション」という映画が面白かった。9.11後のアメリカの”特例拘置引き渡し(レンディション)”を題材にジェイク・ギレンホールがCIA職員を、リース・ウィザースプーンがテロ組織の一員の嫌疑をかけられる男の妻を演じている。その他メリル・ストリープ、J・K・シモンズ、アラン・アーキンが出演。

※上の商品は日本語字幕無しの海外盤です。

日本劇場未公開作とのことだけど、まだDVD、ブルーレイとも日本盤は無い様子。日本語字幕付きで見られる機会は限られるかも…?(※Huluで扱われる映画はタイトルにより期限付きの場合があります)

「なるほど、今後の処置は?米国内には置けない」

「では国外へ」

9.11後のアメリカが行う”国家による誘拐”

 石油会社の元取締役で現在はCIAのアナリストとして北アフリカで勤務しているダグラス(ジェイク・ギレンホール)は爆破テロの現場に居合わせ、犠牲となった工作員の後任に任命される。テロの関係者として浮上したエジプト系アメリカ人のアンワルはアメリカの空港で捕らえられ、ダグラスのいる国の秘密警察に引き渡される。9.11後、CIAはテロ組織とのつながりのある人物を法的根拠なしで拉致監禁するようになっていた。拷問が認められていないアメリカは他国にそれを依頼し口を割らせるのだ。ダグラスは秘密警察のアバシが行う尋問に立ち会ううちアンワルの容疑に疑問を抱く…。というストーリー。

「我々は拷問などしないのよ ダグラス
この仕事を理解なさい」

 国家による誘拐。人が警察組織、軍事組織により拉致されたときに、それを知るのが政府のごく一部の人間に限られるとき、表ではただの行方不明として処理される。家族はその人の捜索に必死になっても、いずれは警察も捜査を終了してしまうだろう。関わる人間の中に良心が勝つ人物がいなければその人が解放されることはないだろう。物語を創作しようと思ったときのネタになりそうだけど、この映画と似たような話はアメリカ政府も暗に認めたことがあるらしいから恐ろしい。

テーマは真面目で考えさせられる大人向けの映画。だけど、それ以上に演出の面白さに「やられた!」とテーマ以上に興味が持っていかれた(いいのか悪いのか)。

スキンヘッドマジックだと!?ネタバレ

 映画はテロ容疑者を白状させんとするダグラスとアバシの話、容疑者の妻と彼女を手助けしようとする上院議員スタッフの話、アバシの娘とその恋人ハリドの話の3つが並行して進んでいくのだけど、それぞれの話に関わる人間がいるから見ている側は当然「彼らは同じ世界にいる(時間を共有している)のだろう」と思い込んでいる(不思議に思うことがない)。

だけど、終盤に差し掛かかるとデジャヴがやって来る。ジェイク・ギレンホールが死んだはずの同僚を乗せて車でテロ事件の現場に再びやってくるのだ。そしてその場にはある男の姿が…。

AとB、BとCのエピソードが交互に描かれたとして、BはAとCと既知の仲でも、AとCが知り合いだとは限らない。そしてBが同じ姿で2人と会っていても、彼らが同じ時間を共有しているとも限らない。「~年前」とテロップを見せない限り、その時間のズレはBを見ていたら髪の長さやしわの数、老け具合で気付くかもしれないけれど、もしBにそのヒントが見当たらなかったら…?この映画は観客に時間のズレを見事に隠し通す。真似をするにはBをスキンヘッドにする以外の手を考えつかなければならないけれど(笑)、物書きや演出家をしている人は参考になるかもしれない。

ただこの映画のゴールは「アンワルは何かを知っているのか?/アンワルを救うことができるのか」に比重が置かれていたはずで、「テロを行った実行犯は誰なのか?」は観客は気にしてはいない。だから唐突にやってきた仕掛けに驚きはするのだけど、その驚きに「アメリカによる問題ある国家誘拐」というテーマは吹き飛ばされてしまう(「ヘビーな映画を見た」よりも「面白いことする映画を見た」が印象として勝ってしまう)。その点はちょっともやもやする(そのアイデア、他の映画にとっときなさいよ…)。

※下記の商品は日本語字幕無しの海外盤です。

「レンディション」と合わせて見たい映画は次の3作品かな。

4デイズ

政府を脅迫した爆破テロ犯をサミュエル・L・ジャクソン演じる謎の人物が拷問で追い詰める

キングダム/見えざる敵

テロリストの家族とFBI捜査官チーム、最後の台詞にハッとさせられる。

マーシャル・ロー

9.11前に制作されたポリティカル・サスペンス。連続テロ事件の発生したニューヨークで戒厳令が発令される。

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