ジユウメモメモ

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みんな、ただただ不幸な復讐劇「ブルー・リベンジ」

取り返しのつかない過ち、一つの嘘。

 Netflixで見た「ブルー・リベンジ(原題:BLUE RUIN)」が面白かった。2015年公開で気になってた作品。

 両親を殺され、古びた車でのホームレス生活をしていたドワイトは、警官から犯人のウェイドが間もなく釈放されると知らされる。髪も髭も伸び毛むくじゃらのドワイトは復讐を誓いその日を待ち続けていたのだった。ウェイドが出所し、出迎えた家族の運転する車を尾行したドワイトは、彼らが立ち寄ったダイナーでウェイドを殺すことに成功する。犯人が乗っていた車で逃走したドワイトだったが、社内に犯人の家族の一人が乗っており、彼を逃がす際に「濡れ衣だ」と告げられる。

翌日、ドワイトはしばらく会っていなかった姉と再開するが、ドワイトの乗っていた車の登録先が彼女の家になっていたため、追手が来るのを恐れたドワイトは彼女と彼女の子どもたちを逃がす。ドワイトの予想通り、その夜、ウェイドを殺された家族が姿を表わす。

追手の一人を拉致し、逃げた先でドワイトは衝撃の事実を知らされる…というお話。

 予告を見て壮絶な復讐劇なのだろうか?と勝手に期待が高まっていたのだけど、いい意味で裏切られた。主人公は気弱そうな普通の人で(髭を剃った後のドワイトはほんとにアメリカのどこにでもいそうな中年男性に見える)、銃の扱いにも慣れていない。刃物の扱いも同様で、ウェイドを殺して逃げる前に、ウェイドたちの車のタイヤをパンクさせてやろうとタイヤに刺した勢いで自分の手のひらを切ってしまうほど。追手の放ったボウガンの矢が太ももに刺さったのを、病院へ行かず、ノコギリで切って、自分で摘出しようとして失敗、結局病院に駆け込むも失神してしまう、と劇中ずっと普通の人が無茶してる(救いの無いストーリーの中でそんな「痛い」シーンがコメディに見えてくる)。

 自首するつもりでいるけれど、姉たちの安全を確保しなければならない、復讐の連鎖を断ち切りたいドワイトはウェイドの家族達との話し合いを模索する。だが、もし失敗すれば-彼らを全員殺さない限り終わらないのか…。そして明らかになる事の発端。それを聞いた時にドワイトも見てるこちらも「あちゃー。」となるのだけれど、その時はもう手遅れ。掛け違えたボタンをかけ直すチャンスはタイムマシン以外には無い。家族を殺し殺され、互いに銃を持った両者がそれを捨てるのは難しい。一つの過ちと、一つの嘘のせいで残された家族が全員不幸になっていく…。

”事の発端”は警察の捜査や裁判で明らかにされなかったのか?それをドワイトや姉が知る機会は無かったのか?そこでハッキリしていたら意味のない復讐の連鎖は起きなかったかもしれないのに…という疑問は残ったけど、それでは映画が成立できないので目を瞑ろう(笑)。

虚しさだけが残る、酷いジョークとしか言い様がないストーリー。90分で、予算もそれほどかかっていなさそうだけどお腹いっぱい。無駄なところが無い。「ファーゴ」や「ノー・カントリー」に雰囲気が似てる。コーエン兄弟の作品が好きな人は気に入るかも。

 「ブルー・リベンジ」が気に入って、ジェレミー・ソルニエ監督の次回作が「Green Room」というタイトルだと知った翌日に、出演者のアントン・イェルチンの事故死のニュースが流れてきた。「スター・トレック」、「ターミネーター4」と好きな映画に出てた俳優だ。「Green Room」、日本で見られるだろうか。

「ブルー・リベンジ」よりもスリラースリラーしてそうな「Green Room」の予告編。ドワイト役のメイコン・ブレアの姿も。