ジユウメモメモ

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シン・ゴジラ

「シン・ゴジラ」をスクリーンで見るのは幸福だ。

邦画はハリウッドに負けてない!スタッフ、キャストの総力戦

 TOHOシネマズ日本橋で「シン・ゴジラ」を見てきた。ギャレス・エドワーズの「GODZILLA」から早2年。だけど日本版ゴジラは12年ぶり。ハリウッド版新ゴジラに大満足で、その後「日本版を」と発表されても、正直なところ、期待はほどほどだった。

シン・ゴジラ

TOHOシネマズ日本橋にて「シン・ゴジラ」を鑑賞。チケット買ったら満席で一回分待つことに。

 GODZILLA(2014)も、劇場で見た初回こそ、大きく力強い、そしてもちろんハリウッドの高クオリティのCGで描かれたヒーローとしてのゴジラはかっこよく、気に入ったけれど、その足元で動く人間のドラマは何度も繰り返してみたいと思えるものではない。どんなに演技派の俳優が演じていたとしても。あのゴジラは人間とやりあう気はほとんどなくて、アメリカ軍と正面衝突することもなかったし、主人公家族のストーリーはあまりに大きなゴジラを目の前にしてはどうでもいい話だ。ディザスター映画ならば人間ドラマに見るべきものがあるように感じられるけれど、ゴジラに限らず怪獣映画においては歩く災害は主役としてそこにあり、人間ドラマは脇役になりがちだ。そして「シン・ゴジラ」もそんな怪獣映画の一つになるのだろうと思っていた。

 それでも監督たちの布陣が明らかになり、ゴジラのビジュアルが明かされ(子供におもちゃを買わせる気がさらさら無いようなグロテスク)、主人公が政治家、もう「ガチ」感に戸惑いすら覚えつつの鑑賞だったのだけど。

見たかったのはこんなゴジラ映画!大人向けの怖い「シン・ゴジラ」

 開始10分もしないうちから、ずっと鳥肌立ちっぱなし、それまでのゴジラシリーズとは比べ物にならない高いクオリティの映像と、本物の空気感に嬉しくて涙が出そうになった。「求めるリアルさ」で「ゴジラ」を観ている、それも予想だにもしなかったストーリーと演出で。お飾りになりがちな、「一回見たらどうでもいい」家族ドラマも恋愛要素も皆無。その分全てが「政治」に置き換わっている。1984年版「ゴジラ」と「ゴジラVSビオランテ」が自分の中での歴代ゴジラシリーズ1位2位だったが、その「ゴジラ(1984)」にあった「政治」と「VSビオランテ」にあった「ゴジラ対自衛隊」があり、「もう一度ゴジラ単体と人間が戦う映画が観たい」「ヒーローとしてではなく、初代ゴジラをリアルタイムで見た人と同じ恐怖を感じてみたい」「もう着ぐるみは捨てて欲しい」と思い続けていた願いが今目の前でリアルタイムで叶っていく…!

「シン・ゴジラ」の人間パートに出てくるキャラクターにダメな人物は一人も出てこない。想定外過ぎる状況に対応すべく全力を尽くそうとする、どの人物を見ても、これから先日本に再びどんな危機がやってこようとも、「あの映画のように」と誰にも指針になりそうだ。そしてそれは、現実としてあの地震のときに原発事故の現場で作業をしていた人たちの姿でもあったのかもしれない。歩く原発と化したゴジラを倒すための作戦は一見アクロバティックに見え、興奮もするのだけれど、最後のシーンを見ると、そのままあの原発事故への対処の仕方をなぞっていたのではと気付く。初代ゴジラが戦争と原爆の記憶から生まれたのに対し、シン・ゴジラは原発事故の鮮明な記憶から生まれた。これ以上に現代的な「ゴジラ」のリブートの仕方は思いつかない。ついに「ゴジラ」1作目の衝撃を戦争を知らない自分たちも体験できたのだ。

 幸せだ。老若男女、カップルも家族連れでフロアは埋まっていたけど、「終」の字が出るまで誰も席を立たなかった(「VSメカゴジラ」のテーマ曲とかもうほんとに自分の好きなものだけギュッと詰まってて、とことんズルい。)。正直最近は洋画ばかり見ていたから、邦画のVFXがハリウッド大作に見劣りしないものになっていることに感激した(バルカン砲もミサイルももうロケット花火じゃない!)。オタクのスタッフの、日本のCGスタジオの、俳優陣の、総力戦の結果がこんな映画になるなんて。でも夢じゃない。幸せだ。今、「見ておくべき映画」を見た。

”次”はどうなるのだろう。ハリウッド版と並行して日本版も続編を仄めかされているけれど…。これまでのゴジラシリーズの展開から予想すると、直接話が続く続編ならばGフォース的な部隊やSF兵器が出てくるのかもしれない。ライバル怪獣も用意してくるかもしれない。だけど個人的には世界観と雰囲気をそのまま、リアルシミュレーション路線のまま、自衛隊やアメリカ軍の現行兵器で戦っているところをもう少し見たい。あの頃夢中になっていた「VSシリーズ」のリブートはハリウッドがやってくれてるのだから。

※歴代ゴジラは「ゴジラの逆襲」と「ゴジラ対ヘドラ」以外は見てきた。「シン・ゴジラ」のゴジラは色々と設定変更(というべきかは微妙なところだけど)があるけれど、昭和のゴジラは空を飛んだこともあるのだから、東宝がそれでGoを出したのなら、と受け入れられた(笑)。それ込みで「初めて」ゴジラが怖いと思えた。

「シン・ゴジラ」パンフレット

パンフレットはグラビアとキャスト・インタビューが中心。「SP 警視庁警備部警護課第四係」の出演者がたくさん出てたのも嬉しかったなぁ。

※これから「シン・ゴジラ」を見ようという方は本当にネタバレ記事を目にしないよう注意されたし。検索や通販サイトのおもちゃコーナー、家電量販店のおもちゃコーナーにも足を踏み入れないことをおすすめします。

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「シン・ゴジラ」でゴジラが気になった人におすすめしたいゴジラ映画と邦画

 「シン・ゴジラ」を見て見返したくなったゴジラ映画はやはりお気に入りの2作。「政治」、「ゴジラを迎え撃つ自衛隊」の描写が気に入った人におすすめ(平成ゴジラシリーズも回を重ねるごとに家族向けになっていく。「ゴジラ(1984年版)」と「VSビオランテ」は大人の鑑賞に耐えうると思う)。

「ゴジラ(1984年版)」

 ゴジラ単体と自衛隊が激突。そしてアメリカがゴジラに向け核兵器を使おうとする政治要素も。恐怖の象徴としてのゴジラ。シリアス。エンディングに謎の歌が流れるのは残念だけども。

「ゴジラVSビオランテ」

 1984年版ゴジラの続編。ゴジラ映画は何度もリブートを繰り返しているので”ゴジラ上陸後”の都市の姿が映るのは珍しかった。ゴジラの細胞を巡って外国の機関が暗躍したり、日本政府に協力する財閥が出てきたりと引き続き政治の要素が楽しめる。そしてゴジラ上陸を経験した自衛隊が「そんなこともあろうかと」といくつも対抗策を用意していたり、科学者がどうしたらゴジラを倒せるのか知恵を絞って実行していくのが面白い。今見るとビオランテ(久々に見返したけどやっぱり凄いデザインだ)は正直ゴジラの相手になっていない。ほとんど「ゴジラVS自衛隊(&科学者)」。銃撃戦の演出などは今見るとこっ恥ずかしくも見えるけれど、セリフは名言が多く、やはり大人向け。夜明け前の空に沢口靖子の顔を浮かべるのは何度見ても我慢していただきたかったが。「シン・ゴジラ」「ビオランテのいないゴジラVSビオランテ」にも見える。

 「シン・ゴジラ」の人間パート、「政治」や「駆け引き」を楽しめた、という人には原田眞人監督作品もおすすめしたい。「金融腐食列島 呪縛」は不祥事を起こした銀行の上層部と危機的状況を打開しようとするミドルの対決、「突入せよ!あさま山荘事件」では警視庁が長野県警とときに衝突しながら犯人逮捕・人質救助作戦を実行するお話。「クライマーズ・ハイ」も新聞社が航空機事故の情報を出すタイミングの駆け引きや社内政治が描かれていて面白い(勝手にこの原田監督作3作を「戦うミドル三部作」と呼んでいる)。

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