イマイチとベターの差はどこにある?「なるほどデザイン 目で見て楽しむデザインの本。」
デザイン意図を聞かれたときにちゃんと答えられるようになりたい
会社の仕事でチラシやポスターを作ることがあり、Googleで「(業種) チラシ」「(業種) ポスター」といったふうに画像検索しては参考にしながら作業を進めている。しかしデザインに詳しい人が社内にいなかったり、自分でも「なんだかしっくりこない」「もっといい感じになりそうな気がするんだけど…」と思いつつ、それほど時間をかけることもできず、そのまま表に出てしまうこともある。
大抵は期間限定イベントのものなので外に長く残るわけではないのだが、自分になりに「デザインについて聞かれたらちゃんと説明できる」ようになりたいのと、デザインのクオリティを上げたいと思っていたので、参考書にネットで評判のいい「なるほどデザイン 目で見て楽しむデザインの本。」を購入した。
百聞は一見にしかず。目で見てデザインの理論をインストールできる
「なるほどデザイン 目で見て楽しむデザインの本。」の特徴は全ページカラーで「長い解説文を読ませるのではなく、事例を大きく見せる」ビジュアル重視な教科書になっていること。
序盤はプロのデザイナーのデザインの制作手順(どんな人に見せたいのか、ペルソナに合わせて見せる情報の足し算、引き算を行うなど)を紹介、レイアウトのイマイチパターンとベターなパターンの比較をいくつか見ていく。いい例、悪い例を見開きの状態で見て比べることができるのでとてもわかり易い。
中盤では「デザイナーの7つ道具」と題した、デザインするときに知っておきたい考え方、知識、理論を学ぶことができる。ここでも傘を宣伝するときに機能性を売りにするならこんな感じ、カラーバリエーションを売りにするならこんな感じ、と見込み客に伝えたい推しポイントに合わせたデザインパターンを見比べられるようになっている。どのパターンについても「なぜそうしたのか」の解説がされているので「ちゃんと理由を説明できるデザインの仕方」を身に着けたい自分にはピッタリの内容だった。この本は紙のデザインに特化しているわけではなく、「写真上の文字を読みやすくする方法」などWebサイトやバナー制作に役立つテクニックも紹介されている。
終盤は、文字詰めやキャプションの文字サイズといったディテールの詰め方、写真の構図やグラフ、チャートの見せ方など、「自分で素材を作るとき」のテクニックが紹介されている。写真グラフやチャートのデザイン事例では「誤解を生むダメなパターン」も紹介されていて、パワーポイントを使ったビジネスシーンでも参考になりそうだ。
デザインの専門家でなくても、自分でデザインしたいときはあるし、しなくてはならないときもある。たとえ独学でも、自分なりにデザインしたものには意図を聞かれたらちゃんと答えたい。「デザインの教科書」を探している人がいたら、まずこの一冊をおすすめしたい。