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GMKtec NucBox G5のパッケージ

「Celeron N4100の次」にピッタリなIntel N97搭載 超小型PC GMKtec NucBox G5

目次

事務作業中心ならメインでも使えそう。持ち運びにも便利な「使える」PC

 8月に帰省中に使うためにミニPCを購入した。今回購入したのはGMKtec NucBox G5。

移動中の荷物はできるだけ小さく、軽くしたいのでノートPCでなくていい。モニタ、キーボード、マウスは実家に置いてあるので、本体だけ持ち運ぶ作戦。

GMKtec NucBox G5のパッケージ
GMKtec NucBox G5。Windows11のイメージに合わせてカラーを選んだが、実物は地味めな色味。

 NucBox G5に搭載されているIntel N97を含む世代のローエンドCPU(Alder Lake-N)は、第12/13世代のCoreシリーズの省電力コア(Eコア)のみで構成されたプロセッサということでパフォーマンスがグンと上がったと話題になっている。

そしてNucBox G5を含め、Intel N100 / N200 / N97などを搭載したPCは価格も(謎に)安く、2万円~3万円で購入でき、中には今回の機種のように超小型のものも多く存在する。

その中からNucBox G5を選んだのは小型であること、Windowsのライセンスに安心感が持てた点、メーカーの公式サイトにサポートページが存在している点だった。

GMKtec公式Webサイト

中国メーカーのPCを買う際は「Windowsのライセンス」を気にしよう

 中国のミニPCメーカーの製品の中には、Windowsのライセンスが企業向けのボリュームライセンス(VL)だったりすることがあり、個人使用で長く使うには不安がある。以前、TRIGKEYのミニPCのセットアップをしたことがあるが、そのときはボリュームライセンス(VOLUME_MAK channel)で、Windowsのクリーンインストールを行うとリテールライセンス(RETAIL channel)に変わったのだが、それで安心していいのかは確信が持てない。また、今回のPC選びで様々な製品の比較を行ったが、メーカーによっては公式サイトがなかったり、デバイスドライバのダウンロードなどのサポートページが用意されていないことがあった。

その点でGMKtecの場合は「ライセンスがOEMだった」という報告が多くあり、公式サイトにWindowsやデバイスドライバのダウンロードページが用意されていて安心できた。YoutubeやRedditには海外ユーザーの投稿も簡単に見つかり、困ったときに参照できる情報も多そうに思えた。

GMKtec NucBox G5の仕様・パッケージ内容

 GMKtec NucBox G5の仕様は以下の通り。NucBox G5はストレージの容量違いで256GBモデルと512GBモデルがあり、価格差は数千円ほど。内蔵SSDは交換可能だが、交換前提で安い256GBモデルを購入しても、1TB以上の容量の大きな交換用SSDを探すとそれ単体で1万円以上する。NucBox G5本体と合わせた金額を考えると、(本体サイズは大きくなるが)より多いメモリとSSDを内蔵した安めのRyzen搭載ミニPCが見えてくる。クーポンやセールがある場合は256GBと512GBモデルの価格差は2,000円程度にまで縮まることがあるので、タイミングが合えば512GBモデルがおすすめ。

CPUIntel N97(Alder Lake-N / 4コア4スレッド / 最大3.6GHz※ / TDP 12W)
※最大クロックはBIOSから設定変更が必要
GPUIntel UHD Graphics(最大1200MHz)
RAMLPDDR5 12GB(※増設・交換不可)
ストレージM.2 2242 SATA SSD 512GB(256GBモデルもあり※交換可能)
ネットワークGigabit Ethernet×1、Wi-Fi 5(802.11a/b/g/n/ac)、Bluetooth 4.2(※マニュアルだと5.0表記)
インターフェイスUSB3.1×3、HDMI×2、microSD×1、Gigabit Ethernet×1、3.5mmジャック、Type-C×1(※給電専用 12V/3A)
サイズ・重量幅72mm×奥行き72mm×高さ44mm・169g(実測)
カラーバリエーションブラック、ラベンダー(=Amazonでの「ブルー」)、ブルー(楽天市場限定モデル)
GMKtec NucBox G5の仕様

NucBox G5のパッケージ内容は本体と電源アダプタのみとシンプル。HDMIケーブルは別途用意する必要がある。

付属の各国語対応の説明書は日本語表記のページも含まれ、Windowsのセットアップの手順、セットアップ時に「@」が入力できないときの対処法、BIOSの表示方法などが記載されている。

海外製ガジェットで気になる技適とPSEマークについてはどちらも記載あり。安心して使える。

GMKtec NucBox G5のパッケージ内容
GMKtec NucBox G5のパッケージ内容
GMKtec NucBox G5
正面に電源ボタン、USB3.1ポート×2、右側面にmicroSDカードスロットが備わる。
GMKtec NucBox G5の背面
背面に給電用USB Type-Cポート(12V / 3A)、HDMIポート×2、イヤホンジャック、1Gbps有線LANポート、USB3.1ポートが備わる。
GMKtec NucBox G5の底面
底面には技適マークの印刷されたシールが貼られておりWi-Fiも安心して使える。
GMKtec NucBox G5の重量
GMKtec NucBox G5本体の重量は実測で169gだった。手に持つと中身が詰まってる感はあるが缶コーヒーより軽い。
GMKtec NucBox G5をガジェットポーチに入れたところ
GMKtec NucBox G5をガジェットポーチに入れたところ。小型なので持ち運びも簡単。
GMKtec NucBox G5付属の電源アダプター
GMKtec NucBox G5付属の電源アダプター。こちらもPSEマークがあり安心して使えるが、12V-3Aと仕様がイレギュラーなので他のPD駆動の機器に使わないように注意。

Windows11 Proのセットアップ・ドライバのバックアップ・ライセンス確認

 NucBox G5初回起動時に行ったWindows11 Proのセットアップと、デバイスドライバのバックアップのキャプチャを撮ったので掲載しておく。

セットアップ時にMicrosoftアカウントに紐づけするのは嫌だったのでオフラインで行ったのだが、Pro版だったためか一度もネットに繋ぐように促されることはなく、すんなりローカルアカウントでセットアップ作業が完了した。

Windows11 Proの初回セットアップ(オフラインで実行)

NucBox G5のWindows11セットアップ
NucBox G5の起動画面
NucBox G5のWindows11セットアップ-言語選択
NucBox G5のWindows11セットアップ-言語選択
NucBox G5のWindows11セットアップ-キーボードレイアウト選択
NucBox G5のWindows11セットアップ-キーボードレイアウト選択
NucBox G5のWindows11セットアップ-キーボードレイアウト選択
2つ目のレイアウトはスキップ
NucBox G5のWindows11セットアップ-再起動
再起動がかかる
NucBox G5のWindows11セットアップ-ライセンス契約
ライセンス契約の確認
NucBox G5のWindows11セットアップ-ユーザー名入力
ユーザー名入力
NucBox G5のWindows11セットアップ-パスワード作成
パスワード入力
NucBox G5のWindows11セットアップ-セキュリティの質問追加
セキュリティの質問追加
NucBox G5のWindows11セットアップ-デバイスのプライバシー設定
デバイスのプライバシー設定
NucBox G5のWindows11セットアップ-再起動
再起動がかかる
NucBox G5のWindows11セットアップ-セットアップ完了
セットアップ完了
NucBox G5のWindows11セットアップ完了後-ローカルアカウント
オフラインのままでセットアップが完了したのでローカルアカウントができている
NucBox G5のWindows11セットアップ完了-ライセンス認証
この段階ではまだオフラインなのでライセンス認証は完了していない
NucBox G5のWindows11セットアップ完了後-キーボードレイアウトの変更
ハードウェアキーボードレイアウトを日本語に設定し、再起動する

 Windowsのセットアップ完了後のスタートメニュー等を確認したところ、メーカーオリジナルのアプリなどは見当たらず「素のWindows」といった状態だった。

デバイスドライバのバックアップ(コマンドプロンプトを使った場合)

 コマンドプロンプト(またはPowershellなど)を使ったデバイスドライバのバックアップは、あらかじめバックアップ先となるフォルダを作成し(仮にCドライブ直下に「DriverBackup」フォルダを作成する)、プロンプトに以下のようにコマンドを入力する。

dism /online /export-driver /destination:”C:\DriverBackup”

コマンドプロンプトを使ったデバイスドライバのバックアップ
コマンドプロンプトを使ったデバイスドライバのバックアップ
コマンドプロンプトを使ったデバイスドライバのバックアップ
コマンドで指定したフォルダにデバイスドライバが保存される

コマンド実行後、バックアップ先に指定したフォルダ内にドライバがバックアップされる。

デバイスドライバのバックアップ(Double Driverを使った場合)

 デバイスドライバのバックアップを行えるアプリ「Double Driver」を使う場合は、PCまたはUSBメモリなどから起動し(インストール不要)、「Backup」ボタンをクリック>「Scan Current System」ボタンをクリック>(マイクロソフト製以外のドライバにチェックが入る状態で)「Backup Now」ボタンをクリック>バックアップファイルの保存先を指定し、「OK」ボタンをクリックする(OutputのオプションはどれでもOK)。

Double Driverを使ったデバイスドライバのバックアップ
Double Driverを使ったデバイスドライバのバックアップ

窓の杜:Double Driver

デバイスドライバの入手(GMKtec公式Webサイトのダウンロードページから)

 GMKtec製のPCについては、公式Webサイトのダウンロードページ(ファームウェアアップデート)からもダウンロードできるようになっている(Googleドライブからダウンロードする形)。メーカーによる提供がなくなるとは思えないが、もしものときに備えて手動でもバックアップしておくと安心だ。

GMKtec:ファームウェアアップデート

ネット接続後のWindows11 Proのライセンス確認

 Windowsのセットアップ後、オフラインの間はライセンスがアクティブになっていなかったが、NucBox G5をネットに接続してしばらくすると、Windows11 Proのライセンスは「OEM_DM」として認証された。

NucBox G5ネット接続後のWindowsライセンス確認
NucBox G5をネットに接続後、コマンドプロンプトに「slmgr/dli」と入力しライセンス確認をするとOEMライセンスで認証された。

Windowsの回復ドライブの作成

 NucBox G5のWindows11 ProのライセンスがOEMだとわかり安心し、おまじない的なクリーンインストールをしようか迷ったのだが、Microsoftの「メディア作成ツール」を使ってクリーンインストールを行うと、ライセンスが「RETAIL」に変更されるという情報を目にした。それでもいいのかもしれないが、なんだかモヤモヤする。

前述のように「素のWindows」状態であるし、Windowsセキュリティでフルスキャンを実行しても何も問題が見つからなかったので、クリーンインストールはせずにしばらくはこのまま使い続けることにした。

そこで、問題が起きたときのために、セットアップ後のWindows Update※を一通り適用し終えたタイミングでUSBメモリを使って回復ドライブの作成を実行した。回復ドライブの作成には2時間程度かかった。

※初回のWindows Updateはかなり時間がかかるので寝る前などに実行するのがおすすめ。進行するのを待ってたら寝落ちした。

検索から回復ドライブを実行
Windowsの検索から「回復ドライブ」を実行
Windows11の回復ドライブの作成
回復ドライブの作成
USBメモリを接続した状態で「次へ」をクリックする
USBメモリを接続した状態で「次へ」をクリックする
USBメモリのデータ削除の確認
「作成」をクリックする
回復ドライブの作成中画面
回復ドライブの作成中画面(2時間程度かかった)
回復ドライブの作成完了
回復ドライブの作成が完了した

Microsoft:回復ドライブを作成する

Microsoft:Windowsの回復オプション

なお、GMKtec製PCのWindowsのインストーラーはドライバ同様、公式サイトでも提供されている。

CrystalDiskInfoとCrystalDiskMark

 NucBox G5の内蔵SSDはSATA仕様。ベンチマークをとってもRead 550MB/s前後とそれらしい数値。NVMe接続だと嬉しかったが普通に使っていて速度差は体感できないかもしれないし、発熱の問題が出てくるかもしれない(NucBox G5の排熱用のファンは本体上部にあり、主にCPUを冷やすためで、底面に接続されているSSDの冷却効果は無さそうに見える)。

NucBox G5内蔵SSDのCrystalDiskInfoの画面
NucBox G5内蔵SSDのCrystalDiskInfoの画面
NucBox G5内蔵SSDのCrystalDiskMarkの実行結果
NucBox G5内蔵SSDのCrystalDiskMarkの実行結果

ちなみに、側面にあるmicroSDスロット(SDカード裏面のコネクタを上にして挿す)の速度はRead 22MB/sと低速。スティックPCやタブレットPCが出たときに流行った「SDカードを使って内部ストレージを拡張」といった使い方には適さない。こちらはあくまでおまけとして捉えよう。

NucBox G5のmicroSDカードスロットのCrystalDiskMarkの実行結果
NucBox G5のmicroSDカードスロットのCrystalDiskMarkの実行結果

BIOS画面をチェックする・電力設定の変更方法

 NucBox G5のBIOS画面は電源投入後、「Esc」キーを押すことで表示できる。

BIOS SETUP UTILITYでは「Power」項目からNucBox G5の電力制限設定(Power Limit Select)を8W / 12W(デフォルト) / 15Wの3段階から変更することができる。

NucBox G5のBIOS画面
NucBox G5のBIOS画面
NucBox G5のBIOS画面-電力制限設定
電力制限設定は「Power」タブを選択>「Power Limit Select」を選択
NucBox G5のBIOS画面-電力制限設定選択
電力制限設定は8W / 12W / 15Wに設定可能。変更した際は「Save&Exit」タブに進み、「Save Changes and Exit」を選択しBIOSを終了させる。

「小型であること」「省エネであること」を期待してNucBox G5を選んだので、より省電力に振れるのは嬉しい(負荷を下げて発熱が多少でも抑えられるならより長く使えるかもしれない)。

電力制限を15W設定にしたときにどうなるか、はレビュー記事や動画が見つかる(多少伸びるがファンはうるさくなる)が、8W設定にしたときにどうなるのかは情報がほとんどなかったので後で12W設定と比較する。

Cinebenchで省エネCPUの進化を確かめる(z-8500 vs N4100 vs N97(12W→8W))

 Windows8 /10登場時のスティックPCから省エネ路線のCPU搭載PCを使ってきたので、その延長線上にあるIntel N97でどれだけ性能が上がったのか気になる。そこでCinebench R23を使って性能比較を行ってみた。

手元にAtom Z3735F搭載スティックPCがあるが64bitのソフトを実行できないので、Atom x5-Z8500(Fujitsu Arrows Tab Q506/ME※Win10)、Celeron N4100(CHUWI HeroBox※ファンレス仕様・Win10)、そしてIntel N97(GMKtec NucBox G5※Win11)の電力制限12W / 8W設定時のスコアを並べる。※いずれも当時は「省電力で実用に耐える」と言われてきたCPUだ。

Fujitsu Q506/MECHUWI HeroBoxGMKtec NucBox G5
CPUx5-Z8500
Cherry Trail
(2015年登場)
Celeron N4100
Gemini Lake
(2017年登場)
Intel N97
Alder Lake-N
(2023年登場)
コア数・スレッド数4コア・4スレッド4コア・4スレッド4コア・4スレッド
最大クロック2.24GHz2.40GHz3.60GHz
キャッシュ2MB4MB6MB
TDP4W6W12W
GPUIntel HD Graphics Gen8Intel UHD Graphics 600Intel UHD Graphics
クロック数600MHz700MHz1.20GHz
実行ユニット数121224
PassMark CPU Mark123624545824
Cinebench R23を使った比較対象CPU

※いずれも冷却ファン搭載/ファンレスなど、PCの仕様にバラつきがあるほか、メーカーの設定により最高クロックで動作しないなど「最大性能」での比較にはなりません。

Cinebench R23
x5-Z8500 / Celeron N4100 / Intel N97搭載PCでCinebench R23を実行してみた。
Cinebench R23の実行結果
Cinebench R23の実行結果。こうして見ると倍々で性能アップしてきたように見える。NucBox G5は8W運用でもいいかもしれない。

電力制限を12Wから8Wへ下げると当然スコアも下がるが、それでもN4100と比べればSingle Coreで倍以上、Multi Coreでは3倍程度の性能が出ている。

NucBox G5でCinebenchを実行中にCore TempでCPUの温度を見ていたが、12W設定のときはMulti Coreで84-87℃まで上昇し、ファンの音は大きくなった。Single Coreでは66-75℃まで上昇し、ファンの音は静か。

8W設定で実行するとMulti Coreで73-81℃、Single Coreで66-76℃。ファンの音はMulti Coreでも12Wのときほどにはうるさく感じなかった。ファンが高回転になる基準はCPU温度80℃かもしれない。

3DCGのレンダリングやビジュアルリッチな3Dゲームをしない限り、NucBox G5を静かさ重視で使うなら8W運用でいいかもしれない。Webブラウザはもちろん、ちょっとした画像編集やOfficeを使うような事務作業なら十分快適に動かせるだろう。買ったそのままで使っても高負荷状態が続かない限りはそううるさくならないが、8Wで使えば一時的に負荷がかかってもより静かに動く。

2Dゲームは快適に遊べる。3Dゲームもタイトルによっては結構遊べる。

 (はなからゲーム性能は低いのだろうと思っていたため)ゲーム目的に購入したわけではないのだが、手持ちの2Dゲームを試してみたところ、快適にプレイできた。アーケードアーカイブスのSNKタイトルはN4100のPCだと全画面表示でプレイしたときに時折処理落ちすることがあったが、NucBox G5だと処理落ちは皆無。Steamで購入したカプコンの2DレトロゲームはN4100のときはまずタイトル選択画面までの3D表示の動きがガタガタで、とても快適とは言えなかったのがこちらも処理落ちなし。

餓狼伝説スペシャル
Celeron N4100だと全画面表示で処理落ちしていた「餓狼伝説スペシャル」はN97だと問題なし。
SteamのCapcom Arcade Stadium
Steamの「Capcom Arcade Stadium」のタイトル選択画面もスムーズに動いた。

 2Dゲームはほぼ不満なく遊べるのがわかったが、3Dゲームはさすがに辛いだろうと、GeForceNowを試したときにハマった「Farlight 84」をSteamからインストールして起動してみると、ロビー画面まで全くおかしなところがなく、「もしかして…」とそのままプレイしてみると、ビジュアルもフレームレートも高品質なまま遊べてしまった(安定して60~70fpsほど出る)。フォトリアルよりはアニメに近いデザインなのが幸いだったのかもしれないが、N97はGPUもN4100のときからずいぶんとパワーアップしているようだ。

Farlight 84
遊べないだろうと思っていた3DのTPS「Farlight 84」はヌルヌル動いた!

Farlight 84に関しては、NucBox G5のデフォルトの電力設定12W時のままで快適に遊べるが、プレイ中、ファンの音は大きくなり、本体背面からそれなりに熱い排熱が出る。音そのものは甲高いものではないため、気にならないが、高負荷状態が続くのは確か。試しに電力設定を8Wに変更し、Farlight 84のフレームレート設定を「低」にしてみたところ、ビジュアル品質の低下はそれほど感じられず、フレームレートは60fps近く(60を超えることはほとんどない)を出してまだ不満なく遊べる。排熱やファンの音は気持ち下がったように感じられた。少しでも負荷を下げたい、熱やファンの音が気になる場合は8W運用にしてみるのもいいかもしれない。2Dゲームももちろん8W運用で問題ない。

海外のレビュアーによれば – 内蔵SSDとUSBポートの電力について

 NucBox G5の内蔵SSDについて、公式にはSATA接続である、とされているが、「NVMe接続でSSDを交換できる」という口コミが見つかった。RedditにあるNucBoxユーザーのスレッドには内蔵SSDの換装を行ったユーザーの書き込みが写真とともにいくつも見つけることができる。

NucBox G5のWi-FiカードをWi-Fi6&Blutooth5に交換してみたい気もするが、保証期間が切れてから考えよう。

Reddit:Upgraded my GMKtec NucBox G5 Intel N97

また、NucBox G5のUSBポートについて、外付けのNVMe SSDケースを接続すると電力不足で使用できなくなるケースがあるとするYouTube動画も見つかった。これはNucBox G5に問題があるというよりは、NVMe SSDケースが必要とする電力が大き過ぎることに由来するもので、別のPCでも起こり得る話のようだ。

もし、NVMe SSDをケースに入れて使う場合はセルフパワー対応のUSBハブを用意するといいだろう。

給電用ポート付きUSBハブ
USBハブの中にはいざというときの給電用ポートを備えたものがある。

Type-C PD充電器を繋げたくなるけれど…

動いた!=安全ではない

 NucBox G5の給電用Type-Cポートについて、GMKtecは「USB PD(Power Delivery)対応」とは一言も謳っていないが、「PDで動いた」という報告はAmazonのレビューやRedditやYouTubeでも見つかる。自分も「PD充電器で動くのなら持ち運びのときの荷物が減らせていいな」と期待していた。

そこでUSB電圧・電流チェッカーを用意して、12V3A出力対応のPD充電器を接続してみたところ、Windows11は問題なく起動した。しかしチェッカーの画面を見ると12Vではなく15Vと表示されている。先のRedditの投稿でも「Anker製のPD充電器で15Vで動いた」と書かれていた。確かに動いているが…安全なのだろうか?

Amazonのメッセージ機能で「(問題が起きたときに自己責任となるのは承知で)PD充電器に繋いだら15Vで起動したけどそのまま使って安全か?」と問い合わせて見たところ、「マザーボード焼損の可能性があります」と返答が返ってきた。

12V/3A駆動のミニPCは「PD対応」を明言されていない限り、原則同梱のアダプタを利用しよう。どうしても別の電源を使いたい場合はUSB電圧・電流チェッカーを用意して確認すること。

NucBox G5同梱の電源アダプターを繋げたときの電圧テスターの表示
NucBox G5同梱の電源アダプターは12Vを出力する。
NucBox G5にPD充電器を繋げたときの電圧テスターの表示
PD充電器を繋げて起動すると動くが電圧は15V。安全面を考えると電圧テスターで確認はしておきたい。

↓はNucBox G5と合わせて購入した電圧・電流チェッカー。充電プロトコルの判別機能は無いがシンプルに使える。

(気持ち)安全に使えそうな「12V3A」電源

 NucBox G5は持ち運び用に購入したので、電源を別に用意するか、PDでも(気持ち的に)安全に使えるようにならないか試してみたところ、以下の製品で12V出力で利用することができた(いずれも使用中に11V後半に電圧が下がることがあるが、12Vを超えるよりは安全だろう)。

NucBox G5に使えた電源アダプターとPDトリガー
左からwaves PDデコイケーブル(12V 3A)、パッケージングテクノロジー PDトリガー(12V 3A)+オーディオファン DC-Type-C変換コネクタ、Outtag 36W 3A マルチ電圧ACアダプター

 ↓本体にあるダイヤルを回して指定した電圧で出力できるアダプタ。12V3A出力を指定して使うことができる。付属の変換コネクタの中に「DC – Type-C」変換コネクタが入っている。これは持ち運びというよりは利用する場所に置いておくといった形に向いている。

 ↓はPD充電器に繋げて12V3A出力できるようにするデコイケーブル(トリガーケーブル)。ケーブルの先はDCプラグになっているため、別途「DC – Type-C」変換コネクタが必要になる。DCプラグには外径と内径の違いで複数の種類があり、wavesのトリガーケーブルは「外径5.5mm / 内径2.5mm」。内径2.5mmをType-Cに変換するコネクタはあまり種類がないが、内径2.1mmのType-C変換コネクタを繋げてみたところ利用できた。DCプラグには「内径2.5mm・2.1mm両対応」といった製品もあり、wavesのケーブルは「内径2.5mm」を謳っているが、プラグの中にはバネのような部品も見え、もしかすると両対応なのかもしれない。

 「DC – Type-C」変換コネクタの中には入力電圧を指定しているものがあり、12Vでは使えなさそうなものがあるが、オーディオファンの変換コネクタについては「電圧電流の変換はしない」との記載があったのでこちらを選んだ。

 ↓は12V3Aのトリガー。PD対応のType-Cケーブルに繋げて利用する。こちらも「DC – Type-C」変換コネクタと組み合わせて使う(先程のオーディオファンの変換コネクタに繋げて利用できた)。ケーブルの長さを調整したい場合はこちらが便利だろう。

追記:PD充電器+トリガーケーブルだとスリープが効かない

 実家への帰省の際に、NucBox G5をPD充電器、トリガーケーブルと一緒に持ち運んで使っていたところ、どうもスリープをかけるとそのまま電源が落ちてしまっている様子だった(キーボードを叩いても復帰しない)。それでデータが消えるといったトラブルにはならなかったのだが、純正の電源アダプターとは挙動が異なる点は認識しておいたほうが良さそうだ。

PD充電器ではなく、12V/3AのACアダプター(Outtagマルチ電圧アダプター)+Type-C変換コネクタの組み合わせだとスリープは機能した。使う場所が決まっていて、スリープを使いたい場合は、12V/3AのACアダプターを別途購入して置いておくのもいいかもしれない。

サブPCのつもりで買ったけど、思ったより活躍の場は広いかも。

 帰省用の、完全にサブ用のPCとしてNucBox G5を購入したが、思いの外性能が高く、お気に入りのTPSゲームも動いてしまい驚いた。特に不満なく常用しているHeroBoxはファンレス駆動なのが気に入っているのでこれからも使うつもりでいるが、ゲーム用にはNucBox G5を使うことが多くなりそうだ。

欲を言えばデータ用のUSB Type-Cポートが一つでもあれば嬉しかったがこれを置き換えるモデルの登場に期待したい。(メインPCとしてのHeroBoxを置き換えるときが来たら、もう1台Intel N97搭載PCでもいいと思っている。そのときは放熱に余裕のありそうな大きさで、NVMe SSD内蔵、USB Type-C搭載モデルを選ぶだろう。)

Webブラウザ、事務用途、コーディングに軽めのゲームに、「とりあえず1台」と手軽に使えるPCを探している人におすすめできるミニPCだ。

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