ジユウメモメモ

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パシフィック・リム

どこか懐かしく、新しくて圧倒的な怪獣映画。「パシフィック・リム」

 今年公開される映画で気になっていた一本「パシフィック・リム」を観てきた。ゴジラが大好きで「自分ならこう撮る」というイメージを持っていたけど、それが吹き飛ぶ力強さと迫力。戦うものとその対象のぶつかり合いにフォーカスを絞った単純明快さととにかくカラフルな舞台。怪獣映画ファンにあるかもしれない「こうあるべき」を破壊しながら怪獣映画のイメージをアップデートしてくれた。

パシフィック・リム

上映終了間近に駆け込み鑑賞。

テンプレートを破壊して進む新しい怪獣映画

 怪獣映画を新しく作る、という企画が上がったとして、その1作目を撮ろうとしたら、どういうストーリーにするだろうか。突如海からやってきて、街を破壊し、人々は逃げ惑い、軍は多くの犠牲を払いながらもなんとか怪獣を倒す。続編があるなら新しい怪獣を出して対決させよう、そしてメイン怪獣はディフェンディングチャンピオンとして防衛戦を繰り返していく・・・となるだろうし、ゴジラもガメラもマグロ食べてたゴジラもクローバーフィールド(アレは倒せてないみたいだけど)もそうだ。だけど「パシフィック・リム」は違う。

 この映画は冒頭、主人公の声とともにダイジェストで怪獣の出現と対怪獣の決戦兵器「イェーガー」の戦いの歴史をダイジェストで見せて、怪獣とイェーガーの戦争真っ只中から映画がスタートする。怪獣も一体だけでなく、イェーガーも一体だけでない。「早く見たいでしょう?」といわんばかりの話の早さ。いきなりの「エイリアン2」。一般人にメインキャラクターはおらず、パパラッチも軍隊もほとんど登場せず(なんとイェーガーを要する部隊は政府からの予算を打ち切られて”レジスタンス”になって活動している)、怪獣とイェーガーの対戦をひたすら見せてくれる(観客に、イェーガーに搭乗しているパイロットと怪獣の対決に集中してもらうため、怪獣映画で描かれる「巻き添えになる人々」もいないことになっているし、戦車や戦闘機も出撃させても戦力にカウントできないので戦闘に参加していない)。そして「そんなにカラフルでいいの?」と言いたくなるくらいの極彩色な世界観。どんなにカッコいいイェーガーでも、強大な敵が現れれば簡単に破壊され、パイロットも次々と犠牲になっていくシビアさも。多くの怪獣映画を観てきて無意識に形作られた「こういうもの」をいとも簡単に破壊してくれて、ギレルモ監督に感謝したい。

「分かってるから。」って言いながら”こういうのが見たかった”を超えるものを。カッコいいにも程がある。

菊地凛子がイェーガーに負けず劣らずカッコよかった。芦田愛菜が怪獣から逃げるシーンは泣きそうになった。ゴジラでもガメラでもクローバーフィールドでもそんなことは無かったのに。

イェーガーは複数の世代に渡って建造されてきた設定で、日本にもコヨーテ・タンゴというイェーガーが活躍していたのだけど、登場シーンは思いの外少なかったのが残念。願わくば前日譚を見てみたい。

思いっきりハードルを上げられてしまった次のハリウッドゴジラ。どうくるか。来年が楽しみ。

パシフィック・リム
原題 Pacific Rim
時間 132分
監督 ギレルモ・デル・トロ
キャスト チャーリー・ハナム、イドリス・エルバ、菊地凛子