
信念とシルエットの映画。「007 スカイフォール」
イギリス映画の本気。信念の人のシルエットはカッコいい。
ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じる第3作目「スカイフォール」を観てきた。イギリス映画の本気、「映画を観た」という気にさせてくれる幸せな一作。

TOHOシネマズ日劇にて観賞
標的は”MI6″。原点回帰のモダン007
テロ組織に潜入しているNATO工作員のリストが入ったハードディスクが奪われた。ジェームズ・ボンドとイヴらMI6は犯人を追跡するが、イヴの誤射によりボンドは峡谷へ転落、犯人は逃走してしまう。その後NATO工作員の正体が次々と暴露され死者を出してしまったことでMI6は存在意義を問われることに。そんな中、Mが外出中にMI6本部が爆破されるテロ事件が発生。ハッキングされたMのコンピューターには「お前の罪を思い出せ」というメッセージが残されていた・・・。
この作品を真のイギリス映画にしたいと思ったんだ。
ダニエル・クレイグ「スカイフォール」パンフレット
アカデミー監督が撮っているせいもあるのか、とにかく丁寧に撮られている印象。今作もダニエル・クレイグはひたすら走り続け、カメラはどこまでも彼を追い続ける。
まるで近未来都市の様に映し出される上海の、SF映画に出てきそうなオフィスビルの部屋での格闘シーンのシルエットのカッコ良さ。マカオでの船に立っているボンド、ロンドンの街を見下ろすボンドの後ろ姿、ダニエル・クレイグは動いていなくてもカッコいい。映画は始めから終わりまでとにかくリッチ。耳にイヤホンをして仲間と連絡を取りながら走り回るボンドの姿は新鮮だ(名前が違えば「SP」や「24」みたいだ)。
そして、政治が描かれるのもいい。政府の審問の中でMが語るMI6の存在意義。彼女の確信の存在であるジェームズ・ボンド。Mが、「時代とともに人は弱くなったが、それでも前へ進むのだ」と語る中、ロンドンを必死に走るボンドの姿はこの映画の象徴となるところだろう。

「スカイフォール」のパンフレットには歴代ボンド映画の解説ページが充実。資料として買っておくといいかも。
タイトルの「スカイフォール」の意味は劇中に明らかになるけれど、冒頭の列車から撃たれて落下していくボンドの目に映る、空が落ちていく様も”スカイフォール”にかけているのかなと感じた。母親(M)に突き落とされた二人の息子の物語でもある。
Mの信念とボンドの愛国心がグッと来る、大好きな映画。

次回作が楽しみだ。