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ロボコップ

一線を超えたブルース・ウェインの代理処刑人 リブート版「ロボコップ」

現実世界のトレンドをフィードバックしてできた”モダン「ロボコップ」”。

 この音を聴くのはいつぶりか。重々しく「ドスッ、ドスッ」という音。この音だ!ロボットの足が地面を踏む度に聴こえる、一歩一歩のテンポ。「ロボコップ」が帰ってきた。有楽町で観たリブート版の「ロボコップ」はあのときの記憶を呼び覚ますに十分で、めっちゃくちゃ面白かった。ガジェット、グラフィック、政治、不気味さ、求めるものが全部入っている。

ロボコップ

「エリート・スクワッド」のジョゼ・パジーリャ監督の最新作「ロボコップ」

「バットマンは引退したが、ゴッサムのみならず全世界から犯罪者を殲滅するために手段を問わなくなったブルース・ウェインの物語」だ。そして強制的に後継者に選ばれる警官の残酷な話。スッキリしない終わり方も素晴らしい。走っても飛んでもロボコップだ。

 瀕死の重傷を負う警官、巨大な軍事企業、人々を煽るメディア。オリジナルにあった要素はそのままに、映画、ゲーム、Web、現実のものとなったテクノロジー、最新の全てをフィードバックして、モダンに生まれ変わった「ロボコップ2.0」だ。登場キャラクターも皆若返ってレトロさはどこにもない。怪獣映画のように新しさを批判するのは野暮だ。

現実にボストン・ダイナミクスが4つ足で走り回るロボットを作って見せた今、のっしのっしと歩くロボット警官を見せられても冷める。子供が真似したあのロボコップの歩き方もマーフィーが機械の体を与えられて目覚めたときだけで、数分もしない内に走り出し、高い塀を軽々と「アイ、ロボット」のロボットみたいにジャンプで飛び越える。新しいマーフィーの移動の足はパトカーではなくバイク。だけどそれでいい。歩くのも遅い、4ドアセダンを運転していたら、犯罪者は逃げきれるはずだ。コンピューターに立ち寄ってデータにアクセスする必要もなく、常に街の全ての監視カメラとリンクしていて、犯罪者が何か悪いことをしたらバイクに跨ったロボット警官がすっ飛んでくる。その方が怖くて、それでこそ抑止力になり得る。

 その抑止力となる新しいロボコップのボディーは全身ブラックだ。まるでバットマンのように。

 リブート版の「ロボコップ」でロボコップを誕生させるのはもちろんオムニ社。そのCEOを務めるのはティム・バートンのバットマンを演じていたマイケル・キートン。

彼が軍事企業のCEOで、金のためもあるのだろうが犯罪を一層するためのロボットの導入をアメリカに迫っている。その姿を見ている間ずっと頭の中でブルース・ウェインの姿がちらついた。彼のオフィスのデスクの後ろには3枚の絵画のようなものが並んで飾られていて、中央は赤いバラをモチーフにしたような絵、両隣は黒い布が丸まったような絵なのだけど、その黒い絵を背にマイケル・キートンが話をしているカットを見ると、彼の後ろにバットマンのスーツが飾られているように見えてくる。今作がどれだけバットマンを参考にしたのかはわからないけれど、マイケル・キートンが部下にロボコップを「もっとミリタリー調に」と黒くするように指示しているところ、警察よりうまく犯罪を減らせると信じている様子など、まるでキレたブルース・ウェインだ(最後にノーランのいうところの「大富豪が軍事力を持つことの責任」のつけがやってくる)。そしてそんなことは望んでいなかったのに強制的に後継者に選ばれるのがアレックス・マーフィーなのだと見ると、より物語は残酷に見える。

 「ダークナイト三部作」やニール・ブロムカンプの映画があって、ボストン・ダイナミクスのアレやドローンの時代がやってきて、いよいよアメリカ軍はロボットを戦場に持ち込もうとしている。数年もしたらそれはいよいよ身の回りのあれこれにロボットの導入が迫る。

映画的なフィードバックと現実的なフィードバックがあって、今、このタイミングで生まれてきたこの映画は観客に一つの疑問を突きつける。「自分たちの平和と安全を守るためにロボットを導入することに賛成か、反対か」と。

映画の中ではオムニ社の人型ロボットは世界中に展開され治安維持に役だっているが、アメリカ国内では国民世論の反対によって導入が進んでいないことになっている。自分もガジェットは好きでも軍事利用のロボットのニュースを読むたびに「なんだか怖いな」とか「このまま進んだらいつかターミネーターみたいな話が現実になるんじゃないか」と漠然とした恐怖を感じる。かといって事故で手足を失った人のための機械の関節の研究開発なんかは「もしも自分がそうなったときにあって欲しい技術」なわけで、「研究をやめるべきだ」と言う気は無い。

マイケル・キートンがロボット反対派の議員に「犯罪が減ることに反対なのか?」と問うがこれに「なんとなく嫌だ」以外に明確に反対意見を述べられるかと考えると中々言葉が出ない。でもその問いを突きつけられる日はそう遠くない未来に必ずやってくる。映画もその答えは示さず、マーフィーと家族が再会するシーンに電気的なノイズを重ねられた不気味なピアノの曲で締めくくられる。

「ロボコップ」パンフレット

最近はペラペラの映画パンフレットも多いけど「ロボコップ」のパンフレットはガジェットの設定や解説文が充実していて値段分の価値がある。

いつ犯罪に巻き込まれるかわからないけれど、息は吸える世界と、自分が殺されるリスクは無いが感情のない監視者に囲まれて暮らすのと、どちらが幸せなのだろうか。新しい「ロボコップ」はただ新しいだけじゃない。観客に思い出させるのだ。今自分たちは岐路に立っているのだと。先延ばししてきた回答期限がすぐそこに来てるのだと。

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