
Bluetoothイヤホンのお試しに最適!QCY QY19
目次
安かろう悪かろうじゃない!しっかり品質の高コスパBluetoothイヤホン
イヤホンジャックはもう帰ってこない。iPhoneで使えるBluetoothイヤホンを試す
iPhone7からイヤホンジャックが無くなった。Appleのことだ、新機種が出てももう帰ってくることはないだろう。
だからとそれを理由にiPhoneを捨てることもないのだが、Bluetoothに対していいイメージを持っていない。通販サイトのレビューでも「遅延」、「音飛び」といった言葉は気になるし、音飛びは過去に所有していたレシーバーでも実際に経験している。それになにより充電が面倒だ。
体験を重視するAppleのこと、何か新しい無線技術が?と期待されていたAirPodsは意外にもBluetooth。高級音楽機器ブランドもBluetooth対応製品を増やし始めた。開発者曰く「Bluetoothも良くなったからだ」。そうなのか。Bluetoothイヤホン、試してみようか。
Grodzinskiy氏 Klipschでは2月に発売した「R6 Bluetooth」まで、長くBlueotooth対応のイヤホンをラインアップしてきませんでした。その理由はBluetoothを使うと音質が劣化してしまうからです。私たちとしては、音質を犠牲にすることは絶対に避けたかった。そのため有線のモデルに注力してきました。
しかしBluetooth 4.0の登場によりクオリティが上がり、ワイヤードとワイヤレスの音質差はなくなりました。同等のクオリティが出せるようになったので、Bluetoothモデルのラインアップを強化しました。
とはいえ、いきなり高価なAirPodsを買うのも勇気がいる。まずは試しに予算3,000円で探してみると、その価格帯には国内メーカーの名は無く、聞き慣れないブランドばかりが並ぶ。一体どれを選んだらいいのやら(自分は音楽機器の海外ブランドに関する知識はゼロといっていいほど無い)。
ならば、と「みんなが良いと言ってる商品」を選ぶことにした。購入したのはベストセラー商品らしいQY8の後継モデル「QY19」。QY8はレビューの数も抜きん出ていて評価も高い。その商品の改善版であれば大ハズレを引くことはないはず。

QCYのBluetoothイヤホン QY19。メーカーロゴのデザインも好みだ。
メーカーのサイトを見ると、QCY(Quality、Creative、Youの略)は、2003年に設立された中国に拠点を置く企業Dongguan Hele Electronics Corporationのブランド。製品情報は日本語ページが用意されていて、アピールポイントやスペックを詳しく知ることができる。自社の製品を構成する部品の生産国やメーカー名、チップの名前まで公開しているのに好感を持った。
QCY日本法人サイトへようこそ|MIRISE株式会社(※2018年追記:日本法人設立に合わせて公式サイトがリニューアルしました。「日本におけるQCYブランドの永続的な展開と顧客サービスの向上を目的」とあるのでより購入しやすくなったと言えそうです。)
(リニューアル前の)サイトにはOEM/ODMに関するページがあり、Amazonに並ぶ似たデザインの他ブランドのイヤホンのOEM元はここのようだ。「中国製だから安かろう悪かろう」はAnkerやファーウェイを見れば分かるようにとっくに過去の話。ちなみに海外の無線機器を購入する際に気になる「技適」は認証済みだ。
付属品の充実したパッケージ。日本語のわかりやすい取扱説明書も付いてくる。
Amazonプライムで注文の翌日にパッケージが届いた。厚紙の簡素な箱だけど、シルバーのメーカーロゴやアイコンが小さく印刷されていて、さり気なくおしゃれ。

厚紙のシンプルなデザインの外箱
内容物はイヤホン本体、充電用MicroUSBケーブル、耳の大きさに合わせて交換できるイヤーピースとイヤーフック、コードスライダー、取扱説明書。説明書は日本語表記で、丁寧な文章なのが嬉しい。ペアリングから電話の応答、初期化の方法など、使い方がわかりやすく記載されている。

QY19の同梱物。複数サイズのイヤーピースとイヤーフックが備わる。出荷時の状態でフィットしなければ交換してみよう。
説明書には「困ったときはここに連絡」といった問い合わせ先の記載はないが、外箱の底に貼られているシールにメールアドレスが書かれていた。

説明書は日本語。文章に不自然さは見られない。

QY19とiPhone 6sを並べたところ。イヤホンのコードの長さは約60cm。
QY19のスペックのうち、Bluetoothとバッテリーに関する部分は以下の通り(購入時のメーカー製品ページより)。
Bluetooth
通信方式 | Bluetooth 4.1 |
---|---|
チップセット | CSR8645 |
出力 | Power Class 2 |
最大通信距離 | 見通し 約10m |
周波数帯域 | 2.4GHz |
対応プロファイル | HFP / HSP / A2DP / AVRCP / aptX |
対応コーデック | SBC / |
ノイズリダクション | CVC 6.0 |
QY19の売りの一つに「aptX対応で高音質」という謳い文句があるのだけど、これはAndroidやWindowsなどが対応するもので、iPhoneは対応していない。
※1/20追記:メーカーWebサイトのスペック表にはiPhoneも対応するAACの記載がありますが、Amazonのカスタマーレビューに「実際はAACに非対応」というコメントがあります。購入店に「AACに対応しているのか」問い合わせましたが返答は得られませんでした。CSR8645チップセットはAACに対応していますが、ライセンス料がかかるためQCY側で無効化されているのかもしれません。
日経トレンディネット:細かすぎるBluetoothイヤホンの選び方 iPhone 6との相性抜群、同時接続でiPadも使いやすく – 音質を左右するコーデックは「AAC」と「apt-X」に注目
BluetoothイヤホンをiPhoneで使う限りは、イヤホンとの接続がSBCなのかAACなのか判別する方法はない。仮にSBC接続だとしても、遅延や音ズレに関しては、動画を見ても気にならず、メモ帳でのテキスト入力時のタップのタイミングと効果音のズレは特に感じられなかった。ゲームアプリでは多少感じられることはあった(短いズレが徐々に蓄積されていくように感じられた)。ゲーム以外では実用上問題無しだろう。
ノイズリダクションのCVCは電話を使った際に声を聞き取りやすくするためのもので、ソニーやBoseなどの「ノイズキャンセリング」とは意味が異なるものだ。
内蔵バッテリー
容量 | 74mAh |
---|---|
充電時間 | 1~2時間 |
連続再生時間 | 4時間以上 |
連続通話時間 | 5時間以上 |
待ち受け時間 | 155時間以上 |
充電はmicroUSBケーブルを使って行う。

QY19の充電はリモコンにあるmicroUSBポートを使って行う。
QY19の充電ポートはコントローラーにあり、蓋が付いているタイプ。繋ぎ目はコントローラーと繋がっておらず穴を通して浮いているため、よくある「充電を繰り返すうち蓋の繋ぎ目が劣化して取れてしまう」タイプと比べれば長持ちしそうだ。この製品はランニング時などの利用を想定した防水機能(IP64:粉塵が内部に侵入しない/飛沫に対する保護)も売りにしている。
説明書や、メーカーの写真などに特に記載は無いが、コントローラーの裏側に小さなマイクの穴があり、ハンズフリーで通話が可能だ。
「ペアリング」と「音楽を聴く」ときのコントローラーの操作方法
電源を入れる / 切る | 中央ボタン長押し (電源ON時「本製品をご利用いただき、ありがとうございます。」と音声が流れる) |
---|---|
ペアリングモード | 中央ボタンを5秒長押し (「ペアリングモードになっています」と音声が流れ、接続先デバイスでQY19を選択すると、「1台目のデバイスに接続しました。」と音声が流れる) |
初期化(工場出荷時に戻す) | 充電状態で中央ボタンをLEDランプが赤・青に点滅するまで長押し |
次の曲に進む | +ボタン長押し |
前の曲に戻る | -ボタン長押し |
その他「電話を受ける」「着信拒否」「リダイヤル」「ボイスコントロール(Siri起動)」などの操作方法が説明書に記載されています。
違和感なく音楽を楽しめる。1,000円台の有線イヤホンからのスイッチにおすすめ
iPhone 6s(Bluetooth 4.2対応)とWindows10のパソコン(第1世代Intel Compute Stick:Bluetooth 4.0対応)でペアリングして音楽を聴いてみたところ、ノイズもなく違和感なく音楽を楽しめた。無音状態の雑音もほぼ無い。
音質は、聴き疲れしそうなほど低音が強かったり、高音がシャリシャリするような感じはなく、聴きやすい。「1,000円台の定番イヤホン」も使ったことがあるけれど、QY19はそれと比べて音質が劣るようには感じられなかった。

iOS10のBluetooth設定画面

Windows10のBluetooth設定画面
音の聴こえ方はiOSの場合「ミュージック」の「イコライザ」や、Boom for iOSのようなサラウンドアプリを使うことである程度自分の好みに寄らせることができる。

iOS10の「ミュージック」イコライザ(左)とBoom for iOS(右)
関連記事:iOS9対応の3Dサラウンド音楽アプリ Boom for iOS
音飛びは部屋の中でiPhoneと繋いで音楽を聴く限りはほとんどしない。音飛びがそうそう発生しないため、同じ条件になるかはわからないが、音楽再生中にイヤホンの電源を切っても、iPhone本体から音が出ることはない。「ミュージック」、「ビデオ」、YouTubeなどはイヤホンの電源が切れると一時停止になる。電車の中などでとっさにQY19の電源を切るようなことがあっても安心だ。
Windows10では音楽を聞きながら画像を開いたりすると、OSのBluetooth設定が反応しなくなり、再起動しないと直らない、ということがあったが、おそらくこれはPC側に原因がある(初期のスティックPCはWi-FiとBluetoothがアンテナを共有していたりと設計段階で弱点がある。BIOSで本体内蔵のBluetoothを切って、別途USBのBluetoothレシーバーを使うと改善されるかもしれない)。
両方のデバイスでペアリングした状態で、片方のデバイスで音楽を聴いているときに接続が途切れたりすることが稀にあった。そのときはもう片方のBluetoothを切るか、QY19の登録を任意で解除すると直る(コントローラの中央ボタン長押しするだけなので再ペアリングは難しい作業ではない)。
価格と音には満足。最後に気になるのは「コード」?

QY19と他社製イヤホンを並べたところ。QY19は一回り大きく、イヤーフックのあるイヤホンを使ったのも初めてだったけれど、予想していたより違和感はなく、装着感もすぐに慣れた。
オーディオマニアではない自分にはQY19のコストパフォーマンスに満足。部屋の中でもiPhoneを持ち歩かずとも音楽を楽しめるのはやっぱり快適だ。バッテリーのもちも、イヤホン本体の小ささから見て満足すべきか。1,000円台の有線イヤホンからの移行にはピッタリの商品だと思う。
唯一の、そして最大の不満は、この製品に限ったものではないことで、「コードが服にこすれる音が大きい」点だ。首の前にぶら下げればガサガサと大きな音がし、首の後ろにぶら下げれば風を切るような音がする。外を歩くときはこの音が悪目立ちし、音楽のボリュームを上げるほど気にならなくなっていくが、今度は人とぶつかったりする危険が上がっていく。家の中と、帰省のときの新幹線の中で使うのには文句なしだ。
デバイスとイヤホンが分離してもまだ「快適」にはあと一歩遠い。なるほど、AirPodsのような完全セパレート型のイヤホンが出て来るわけだ。もうセパレート型が欲しくなっている(笑)。
QCY QY19に使用可能な交換用イヤーピースの紹介記事はこちら。